ここではあの魅惑の技法・その名も瓦落についての解説を行ってまいりますっ!

In here, explaining the technique of a texture on my artwork

まずはじめに瓦落を概言しますと、伝統技法・揉み紙の応用技術ということになります。

ただ、圧倒的に成功率に違いが出るため便宜的に分け、名を与えたものです。

 

理由としましては「下地膜」「展開膜」「配合比率」「分量比率」の4つの要素が関係するためです。

 

とはいえ文字だけでの説明は面倒なのでとりあえず画像を交えて解説していきます!

 

 

 

 

Introduction

 

 

 

Iwa-enogu( Japanese-style pigment ) has a variety of size of pigment.

 

The diagram below shows size7, size9, size11, size13.( 7 is the biggest)

 

 

 

And,  I need some special words to explain it. These are explanation of it.

 

 

The lower layer      Mixed pigment of some size with color. 

 

The upper layer      This layer is to break, and is mixed pigment.

 

The mixing ratio      A percentage of pigment to Nikawa( bonding agent).

 

                                          And this ratio is  different the lower layer and the upper layer.

 

The volume ratio     A  variable ratio by size of the picture.

 

1 第一下地膜を張る

 

粗い番手を混ぜ込んだ青を紙に塗った状態です。

 

1       Make the lower layer with blue.

2 第一展開膜を張る

 

すみません、これ第二展開膜の画像なのですが理由はご存知、撮り忘れたからです。
特定の比率で複数の番手を混ぜ込んだ胡粉を厚くもなく薄くもなく塗ります。

 

2     Make the upper layer.

3 第一膜を揉む

 

大変珍しいことですが、全体画像をあろうことか撮り忘れたため部分的なアップ画像になります。
展開膜から青い下地膜が見えるこの状態が第一段階となります。

 

 

3      Take off and crumple the paper. You can see the wrinkles with blue.

4 第二下地膜を張る


もはや絶句するよりしようのない驚嘆の出来事ですが、なんとこの時の画像を撮り忘れるといった事件が発生したため他の似た画像で対処させてもらいます。

ただ、こんなふうに茶色(第一下地膜とは別の色)を基調とした膜を張ります。

 

4     Make the lower layer with brown. The blue winkles are colored darker. For the moment, I call these darker blue black.

 

5 第二展開膜を張る。


まさしくデジャヴ。しかしこれこそが正しい二枚目の展開膜を張った状態ですので心を強く保って次へお進みください。

 

5     Make the second upper layer.

 

6 第二膜を揉む

 

この余裕はどこから来るのか。その通り、第二膜の揉みからは全体像とアップ画像の両方を撮り収めることに成功したからに他なりません。

ちょっとこれでは見づらいですよね?   ええ、わかっています。では、次へ。

 

 

6     Take off and crumple again. Maybe you can see the wrinkles with blue, brown, and black. …….maybe.

I believe it so !

6.5 アップ画像


これは上記画像のアップです。なんとなく雰囲気が違うように見えますがおそらく自動補正による違いです。

こうして近づくと青と茶のヒビが見て取れると思います。


7 アク抜き


こころなし画面がいつもより傾いていますがそこは気にしなくても大丈夫です。三脚は平衡を保っていましたが立て掛けた絵が傾いていたのでしょう。

これにて瓦落は完成となりますが次では詳細な説明を。

 

7     Wash out (off?) by water with sprayer. So you can see brown at white.

7.5 アップ画像

 

6.5の画像と比べるとわかると思うのですが、ヒビの入っていなかった白地だけの場所に第二下地膜の色がうっすらと顔を出しているのがわかると思います。

この「アク抜き」のために「配合比率」と「分量比率」が必要になります。

技法・瓦落の簡単な手順は以上となります。

 

以下では一問一答式にこの特徴を説明していこうと思います。

 

 

 

Q なぜ誰も求めていないのにも関わらず技法に名前を付けてしまったのですか?                                          栃木県・「おこめの嵐」さん

 

A いい質問ですね。この見事な一人芝居に心が痛みはじめたのなら本ページから立ち去ることを薦めますが理由は一点。揉み紙との比較のため名前が必要だったからです。表の左には揉み紙、右には新技法、と書き分けて分析していたからです。

 

 

 

Q なぜ性懲りもなく下地膜・展開膜などと銘打っているのですか?美術雑誌あたりに技法の特集が組まれた時にすみやかに解説できるよう段取っておいたという有名になる予定もないのにサインの練習してる人的な捉え方で構いませんか?それより二つの膜ってなんですか?                                                                                                                                                        三重県・「たーくんママ」さん

 

A 激しくも鋭いご質問ありがとうございます、たーくんママさん。酔ってる時はいいのですがシラフでこの問答をひとりで作っていると変なドキドキが止まりません。

 

 さておき、下地膜・展開膜にはそれぞれ役割があるため配合比率・分量比率が異なるのです。

 

 下地膜は色を伴って直下の膜や紙にしっかりと張り付く定着力と上に張られる展開膜を掴み過ぎないような粒子の粗さが求められます。

 

 一方、展開膜は下地膜から剥落してしまわない程度に定着力が必要ですが、定着力が少しでも強いと揉んだ時にヒビに割れてくれません。

 

 このあたりの匙加減に7,8年もの歳月を費やしてきたのです。決して美術雑誌掲載を狙っていたわけではありません。ただ、求められるのならいくらでも出ていってやろうとは思っています。

 

 

 

Q では配合比率と分量比率ってなんなのですか?なぜそれが掲載されていないのですか?                          鳥取県・「ざらめが最近おいしくて」さん

 

 

A 「では」とか言わないでください。完全にすべてを一人でこなしてるんじゃないのか式の風味が強すぎます。
 とはいえご質問は的確です。恐ろしく答えたいところにピンポイントで尋ねてくるとは恐れ入ります。


 さておき、ヒビにも種類があり、場面によって使い分ける必要があることを先に伝えておきますね。それからこの瓦落は揉み紙と異なり最後にアク抜きという作業を行うことも。


 まず最後のアク抜き(だけではないのですがとりあえず)は均一な細かい粒子だけでは7.5で示したような色の落ち方ができません。溶けるだけなのです。


 細かい説明は割愛しますが下地膜・展開膜に大きな粒子が混じっていることでランダムに剥がれてくれるため、それぞれの膜には最低2~3種類、多くて5種類の粒子を混ぜることになります。


 しかし大きな粒子はその重さに対して紙や下地に接する面積が小さいため定着力を強くしなければなりません。反面、強いと細かい粒子はガチガチに固められてしまいます。


 「強すぎる・弱すぎる」より狭い「強い・弱い」の間隙を縫った各粒子とニカワの比率を「配合比率」と呼んでいます。


 そして「分量比率」ですが、これは画面に対する配合比率を調整したものになります。


 小さな画面では繊細なヒビが求められますが、これを大きな画面で単純計算により応用すると「小さくてよく見えない」といった致命的な状況に陥ってしまいます。


 そのため配合比率を下敷きに画面に合わせて調整しなければならないのです。


 正直、吐きそうになります。昔これが原因で吐いたこともあるくらいです

 

 ちなみに数値を掲載しないのは単にめんどいからです。

 

 

 

 

Q じゃあこの手順どおりにやったらできますか?
        徳島県・「チョコとビールはヘンに高いやつより市販のやつの方が好き」さん

A 「じゃあ」もよしてください。そしてペンネームは自己紹介ではないのでヒネってください。


 さてご質問に対する回答ですが、「できません」が答えになります。


 比率の掲載をしてもおそらくできません。なぜなら僕も成功率は3割に満たないからです。


 揉み紙は胡粉とニカワだけですので9割以上の確率で成功します。しかしこの瓦落は諸々の都合でよく失敗します。


 失敗した画像も数枚あるのですが、多くは「ウロコ」「ボロウ」と呼んでいる症状で「ニシ」「剥落」「ライン」「溶け」と名付けている症状の画像はありません。


 ええ。腹が立つからいちいち撮らずに棄ててしまうからです。


 またこれら失敗の症状に逐一名前を設けているのもそれぞれが発生する原因が異なるためです。中には未だに把握できていないものもあります。

 

 

 

 

いかがだったでしょう?


身の毛もよだつ問答集でしたが、このような理由により私の絵は成り立っています。


失敗も含めこれだけの蓄積に歳月を掛けてきたため絵として形になったものは気後れするほどの確率をくぐり抜けてきたものです。


私の絵の余白を飾る瓦落への理解にこの努力の轍のページが役立ってくれれば本懐です。